特別なゴルフ (2005年3月)
特別なゴルフ、と聞いて、何を思い浮かべますか? 私だったら、まっ先に「GTI」かな。 そうじゃなかったら、カブリオ。 えっ、それでもないの・・・ じゃあ何だろう?
それは、「R32」。 スカイラインじゃないですよ(笑)。 ゴルフIVのボディにV6・3.2Lエンジンを詰め込んだ、”スーパー・ゴルフ”のこと。 というわけで、先月のM3に引き続き、「モンスターマシン」の登場です。

オーナーのFさんが運転するゴルフR32が、コビーとの待ち合わせ場所に静かに現れます。 一見、フツーのゴルフのようでいて、なんだか下半身が膨らんでいる。 それに車高が低い。 横に回れば、OZ製のフィンタイプ18インチアルミホイール(こういうデザイン大好き)+うすっぺらいタイヤもさることながら、その中に光るブレーキディスクの径の大きさにびっくり。 そして、リヤ両脇には太いテールパイプ。 これは、明らかにフツーではありません。


よく見れば、ボディ前後に加え、エンジンカバーにも「R32」のエンブレムが光っています。 そして、室内にも「R」ロゴが至るところに。 いったいいくつあるのだろう? サイドシルプレート、ステアリングホイール、ABCペダル、フットレスト、フロアマット、メーターパネル内、前席シート、更に後席シートまで・・・ 比較の対象になるかどうかはわかりませんが、こういう演出は、はっきり言ってM3より上手ですね。 もともと、今や旧モデルとはいえゴルフIVの室内の質感はとっても高いもの。 そこに、ブラック本革で覆われたシートバック一体型の専用本革シート(ケーニッヒ製)や本アルミも用いられている各部のアクセントが加わっていて、そして更に前述の「R」アイコンたちが散りばめられているわけだから、これはもう、イグニッションをひねる前からドライバーは「スペシャル感」「プレミアム感」をたっぷりと味わうことができること間違いなし。



エンジンを掛ける。 控えめながら、低い排気音が響き出す。 ギアを入れて、発進・・・ おおっ、アクセルレスポンスが鋭い! レブリミットまであっという間に回ってしまいます。 アクセルもそうだけど、ステアリングやクラッチの操作感が思ったよりも軽めで、その点で乗る者を選ばないというか、とっても扱いやすい。 6速M/Tのシフトフィールも、カッチリかつサクサクしている。 そして見た目スゴそうなデザインのステアリングホイールも、9時15分位置のグリップ部分は意外にも太すぎず、私の掌にもいい感じです。 ペダルの位置が全体に左寄りなのが気になるといえば気になる点だけど、きっと慣れの問題でしょう。 2速や3速でシートに身体が押しつけられるような怒濤の加速を味わうも良し、5速や6速でゆったり行くも良し。 エンブレムも何も無いけれど、実は4-MOTION(フルタイム4WD)だから、ちょっとやそっとのことではESPが作動することもありません。 そして見た目どおり、ブレーキフィールも実にしっかりしたもので安心安心。 4輪に225/40R18のミシュランパイロットスポーツを履く足回りは明らかにカタいけど、不快なわけではないし(運転している人だけかな?)、軽快感も併せ持っています。 例えばE46のM-Sport系よりも明らかに路面を軽やかに捉えている感じ。 そして剛性的にもっとも不利な5ドアハッチバックでありながら、ユルイ感じがしないところも立派ですね。 現行A3やゴルフVほどのカッチリ感は無いけど、私にはこれくらいの剛性感が心地良い。 図らずも世代としてはコビー世代・・・やはり時代性というのはあるのですね。
だんだんマフラーが暖まってくると、排気音もどんどん元気になってきます。 上まで回すと「コーン」という乾いた音で楽しませてくれるいっぽうで、中回転域の野太い音もまたとっても魅力的・・・。 こういうのはコビーの直4・2.0Lでは味わえない世界ですね。 当たり前か。 うーん、イイ。
それでいて、M3と比べると半分以下の、実はコビーと同じくらいの価格でこれが売られていたというのははっきり言ってバーゲンプライス!?ではないでしょうか・・・ V6・3.2L・6M/Tの4WDスポーツ車が405万円(発売時の定価)。 しかも本革シート、キセノンランプ、18インチアルミ、ESP、サイドエアバッグを始め、装備レベルも十二分以上のもの。 アウディやBMWの値段に織り込まれている「プレミアムブランド代」が、このR32には乗っかっていない、そんな感じです。 いわば、フツーの家柄だし外見も特に目立つ奴じゃないんだけど、頭がとっても良い上にスポーツも人並み外れて万能な優等生、つまり「天が二物を与えた」という形容がぴったり来るような、ゴルフR32。 正直なところ、実際に乗ってみるまでは自分がこんなに気に入ってしまうとは予想していませんでした・・・。


